テンプレート:文学 テンプレート:ネタバレ マークスの山は、高村薫原作の小説。1993年に単行本化(早川書房)、2003年に文庫化(講談社)された。なお、高村自身はこの作品で第109回直木賞を受賞している。
南アルプス夜叉ヶ峠で起こった親子心中事件で生き残った少年が、その後成長して「マークス」を名乗り、連続殺人を犯す。「マークス」には、ある事件に関係するキーワードが隠されていた。
1995年4月に中井貴一・萩原聖人主演で映画化された。
登場人物[]
犯行とその関連人物[]
- 水沢裕之-萩原聖人
- 神奈川県横浜市出身。南アルプス夜叉ヶ峠で両親と心中するも、奇跡的に助かる。しかし、一酸化炭素中毒のために重度の統合失調症になり、病院に入退院を繰り返す。3年おきに精神に変調を来す。一時豆腐屋の夫妻の養子となり、改姓していた。代官山で窃盗を働き府中刑務所に送られる。普段は入院時の担当看護師・高木真知子(後述)のアパートで暮らしている。
- 高木真知子-名取裕子
- 東京・金町にある第一病院の看護師。水沢が千葉県松戸市の病院に入院中に知り合う。水沢を最も手厚く看護した。ある日、水沢と落ち合った時に暴力団員から発砲を受け重傷を負う。
- 岩田幸平
- 南アルプスの作業小屋に暮らしていた建設作業員。幻覚に襲われ、小屋にやってきた登山者を撲殺し逮捕された。府中刑務所収監中に、水沢から自らの殺人事件に関する刑事裁判の再審請求を出すよう入れ知恵される。
MARKS関連[]
- 木原郁夫-岸部一徳
- 暁成大学理事長。暁成大学法学部卒。在学中は山岳部(蛍雪山岳会)に属し、金にあかしてヨーロッパまで遠征するほどであった。
- 松井浩司-伊藤洋一郎
- 法務省刑事局の官僚。暁成大学法学部卒。司法試験に合格直後、事故を起こすも木原の力により不問に付された。
- 林原雄三-小林稔侍
- 銀座で林原法律事務所を営む弁護士。暁成大学法学部卒業。女癖が悪く、人妻を妊娠させてしまった時に木原に中絶費用と示談金をカンパしてもらっていた。
- 浅野剛
- 浅野病院院長。暁成大学医学部卒業。裏口入学の過去があり、負い目を感じながら学生生活を送っていたときに木原と知り合う。癌になり、浅野自身も関わった事件の真相を書き記した遺書を顧問弁護士宛に残し、自殺した。
- 佐伯正一-角野卓造
- 佐伯建設社長。暁成大学経済学部卒業。木原の妹と付き合っており、木原の力により無事結婚を果たした。高井戸の自宅で自殺。
- 野村久志
- 左翼活動家。暁成大学法学部卒業後、京都大学大学院に進学するも中退。木原はこの野村に対しある恐れを抱いている。木原達五人と登った南アルプスで原因不明の死を遂げ、遺体を山中に埋められた。
- 畠山宏-井筒和幸
- 元暴力団員。連続殺人事件の第一被害者でもある。林原からの依頼で水沢殺しに赴き、返り討ちにあう。
捜査関係者[]
- 合田雄一郎-中井貴一
- 警視庁刑事部捜査第一課第3強行犯捜査班7係主任。階級は警部補。33歳。大阪市東住吉区出身。大阪府立天王寺高等学校を卒業し、母親の故郷である東京で大学生活を送る。後述の加納祐介とは大学の同期で登山のパートナーであり、元義兄である。加納と共に司法試験を受験するも、合田は失敗し、その後警視庁に入庁。警視総監賞を三度受賞、警部補昇任試験に合格し所轄警察署と本庁を行き来した後現在に至る。離婚暦が有り、元妻は加納の双子の妹である。時に関西弁を交えて喋ることがある。警察官職務執行法に忠実な、忍耐の塊とも言うべき刑事。
- 森義孝-西島秀俊
- 警視庁刑事部捜査第一課第3強行犯捜査班7係係員。階級は巡査部長。整髪料など揮発性化学物質へのアレルギーがあり、外ではマスクに眼鏡、手袋を着用している。入庁後わずか数年で巡査部長昇任試験に合格した優秀な刑事。捜査の時は整髪料を付けない合田としかコンビを組めない。『蘭丸』を捩った“お蘭”というニックネームを付けられている。
- 吾妻哲郎-小木茂光
- 警視庁刑事部捜査第一課第3強行犯捜査班7係主任。階級は警部補。年齢は40歳前後と思われる。東京大学法学部卒業。学生結婚をした為、司法試験を諦め警視庁に入庁。被疑者の精神を切り刻む事に愉悦を覚えている事から、ドストエフスキーの小説「カラマーゾフの兄弟」に登場する予審判事、ポルフィーリィ・ペトローヴィッチから拝借した“吾妻ポルフィーリィ”と、童顔であることから付けられた“ペコ”というニックネームがある。現場に出る時は玉虫色のトレンチコート(通称ハレンチコート)を着る。小柄で、下腹部が出始めている。
- 有沢三郎-遠藤憲一
- 警視庁刑事部捜査第一課第3強行犯捜査班7係係員。階級は巡査部長。現場に一二を争うほど早く到着する事から付いたあだ名は“又三郎”。捜査一課一のイケメンを自称。
- 肥後和巳-古尾谷雅人
- 警視庁刑事部捜査第一課第3強行犯捜査班7係係員。階級は巡査部長。鹿児島県出身ゆえ、“薩摩”というニックネームを付けられている。老獪さにおいて右に出るものはない。多摩に自宅があるものの、時に荻窪の愛人宅から現場に向かうことがある。
- 広田義則
- 警視庁刑事部捜査第一課第3強行犯捜査班7係係員。階級は巡査部長。秋田県出身で、色白にもち肌。柔道五段。トレンチコートには岩波新書か澁澤龍彦の作品のどちらかが入っている。ある理由から、ニックネームは“雪之丞”
- 林省三-笹野高史
- 警視庁刑事部捜査第一課第3強行犯捜査班7係係長。階級は警部。胃の切除手術を受けるも現場復帰を果たす。ニックネームは“モヤシ”。刑事部の上層部と部下との間で板ばさみになることが多い。
- 花房-前田吟
- 警視庁刑事部捜査第一課課長。
- 竹内-岩松了
- 警視庁刑事部捜査第一課第3強行犯捜査班担当管理官。裏で付いたニックネームは“チュウシンの竹内”。吾妻曰く、「上司への注進を欠かさず、自己中心だから」。
- 吉原-塩見三省
- 警視庁刑事部捜査第四課係長。階級は警部。
- 須崎靖邦-萩原流行
- 警視庁刑事部捜査第一課第3強行犯捜査班10係主任。階級は警部補。合田とは何かにつけ衝突する。
- 加納祐介
- 東京地方検察庁特別捜査部(東京地検特捜部)検事。茨城県水戸市出身。合田とは大学の同期で、双子の妹・貴代子は合田の元妻。貴代子が原発反対運動に関わっていたとされ、その事がきっかけになり福井地方検察庁へ左遷。その後京都など10年余りの地方勤務を経て、東京地検特捜部に赴任した。合田の自宅の合鍵を持ち、暇を見ては部屋の掃除や服のアイロンがけをしている。
- 佐野
- 山梨県警察本部刑事部捜査第一課係長。階級は警部補→警部。生まれ育ちは山梨県。若い頃は登山を趣味とする。
- 戸部
- 山梨県警察本部山岳救助隊分隊長・富士吉田警察署刑事。階級は巡査→巡査部長。“トッポ”というニックネームが付いている。
- 水野
- 警視庁碑文谷警察署署長。階級は警視。キャリア組である。
関連項目[]
- 高村薫
- 推理小説
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