『武士の一分』(ぶしのいちぶん)は、2006年制作の日本映画。
原作は時代小説『盲目剣谺返し』(『隠し剣秋風抄』収録、藤沢周平作)。監督の山田洋次の『時代劇三部作』(『たそがれ清兵衛』・『隠し剣 鬼の爪』)の第3作目(完結)である。興行収入は40億円を超え、松竹配給映画としての歴代最高記録を樹立した。
ストーリー[]
幕末時代の海坂藩(山形県庄内地方に実在した庄内藩がモデル、現在の鶴岡市)。藩主の毒見役を務める侍、三村新之丞は妻・加世と慎ましくも幸せに暮らしていた。だがある日、毒見の際に食べた貝の毒に中り失明してしまう。この一件から一時は絶望するも加世の支えもあり、光の無い世界に慣れてきたある日、加世と番頭・島田藤弥との不貞を知ってしまう。島田に体を預けることを引き換えに家禄を保ってきたことを知った新之丞は加世を離縁。その後、実は島田は加世を弄ぶために家禄を口実に加世を騙したことを知り、島田に対し、自らの「一分」を賭けて果たし合いに挑む。
登場人物[]
- 三村新之丞(木村拓哉) ‐ 近習組に務める30石の下級武士。藩主の毒味役を務めていたが、つぶ貝の毒にあたってしまい、最終的には失明してしまう。
- 三村加世(檀れい) ‐ 新之丞の妻。孤児だったが新之丞の両親に我が子同然に大切に育てられ、徳平とも昔からの顔なじみ。夫が失明をしてしまい、今後の生活のために島田を頼るのだが、そこに付け込まれて弄ばれてしまう。
- 徳平(笹野高史) ‐ 新之丞の父の代から務める中間。新之丞とは軽口を叩き合っている仲。真面目で少々口うるさい性格ではあるが、新之丞と加世をいつも暖かく見守っている。
- 波多野東吾(岡本信人) ‐ 新之丞の叔父。どうにかして生活の2人の生活の安泰を願っている。加世と島田との密会を目撃してしまう。
- 滝川つね(左時枝) ‐ 勘十郎の妻。世間体を気にしており、「(加世が)新之丞と別れるなどと言うことは考えられない。滝川家の恥だ」と懸念する。
- 滝川勘十郎(綾田俊樹) ‐ 加世の親類。新之丞が失明したと聞き、2人の生活を案じて滝川邸にて話し合いを開くきっかけを作る。
- 波多野以寧(桃井かおり) ‐ 新之丞の叔母。おせっかいな性格で大げさな性格。新之丞からはいつもうるさがられている。夫から聞いた事実を報告するが、新之丞に「加世はそんな女ではない」と言われ機嫌を損ねてしまう。
- 木部孫八郎(緒形拳)
- 山崎兵太(赤塚真人)
- 加賀山嘉右衛門(近藤公園)
- 藩主(歌澤寅右衛門)
- 玄斎(大地康雄) ‐ 新之丞のかかりつけの医師。加世に「恐らくこのままでも薬の効果はない。神仏に祈るしかない」と新之丞が失明したままである事を伝える。
- 樋口作之助(小林稔侍) ‐ 海坂藩広式番。食事の際の不始末の責を取って切腹せざるを得なくなってしまう。
- 島田藤弥(坂東三津五郎) ‐ 海坂藩番頭。新之丞の上司であり、加世とは昔からの顔なじみ。実は自らの出世の事しか考えておらず、平気で人を騙したりするような性格。最後は新之丞との決闘にて片腕を切り落とされ、切腹して果てる末路を辿る。それもまた彼の武士の一分であった。
スタッフ[]
- 監督:山田洋次
- プロデューサー:深沢宏、山本一郎
- 脚本:山田洋次、平松恵美子、山本一郎
- 音楽:冨田勲
- 製作委員会 :松竹 ‐ テレビ朝日 ‐ 住友商事 ‐ 博報堂DYメディアパートナーズ ‐ 読売新聞 ‐ TOKYO FM ‐ Yahoo!JAPAN ‐ マガジンハウス ‐ 朝日放送 ‐ メ~テレほか
文献[]
- 『隠し剣秋風抄』藤沢周平、文藝春秋、1981年 ISBN 4163063102
関連項目[]
- 『たそがれ清兵衛』
- 『隠し剣 鬼の爪』
- 『日本アカデミー賞』 - 2007年第30回日本アカデミー賞で13部門中最多の12部門にノミネートされる
- 白河小峰城 - ロケが行われた所の一つ
- 塩郷駅 - 決闘シーンのロケ地近くの駅 大井川鉄道による案内
外部リンク[]
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