『海は見ていた』(うみはみていた)は山本周五郎の小説による映画。監督は熊井啓。映画のタイトルは英語で「The Sea Watches」である。
スタッフ[]
- 監督:熊井啓
- プロデューサー:猿川直人
- 製作総指揮:中村雅哉
- 企画:黒澤久雄
- 原作:山本周五郎(『なんの花か薫る』『つゆのひぬま』新潮社刊)
- 脚本:黒澤明
- 撮影:奥原一男
- 美術:木村威夫
- 衣装デザイン:黒澤和子
- 編集:井上治
- 音楽:松村禎三
- 照明:矢部一男
- 制作:豊忠雄、遠藤雅也
- 監督補:鈴木康敬
- 製作:「海は見ていた」製作委員会(日活、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、テレビ東京、インタービジョン、サミー、マル、ソニーPCL、ソニー・シネマチック、エー・アイ・アイ、日本ロードサービス)
出演[]
- お新:遠野凪子
- 菊乃:清水美砂
- 良介:永瀬正敏
- 房之助:吉岡秀隆
- つみきみほ
- 河合美智子
- 北村有起哉
- 野川由美子
- 石橋蓮司
- 奥田瑛二
テンプレート:ネタバレ
あらすじ[]
江戸・深川の岡場所にある日、一人の若い侍(吉岡秀隆)が逃げ込んでくる。刃傷沙汰を起し追っ手に追われているという。自らの居室にかくまった娼婦のお新(遠野凪子)は、その後も何かとお新の元に通う侍に恋をするが、若侍はただ居心地がいいから通っていただけで恋心など毛頭ない事を知り打ちひしがれる。やがて、貧困ゆえに過酷な人生を歩んできた町人・良介(永瀬正敏)と再び恋に落ちるが、ある嵐の夜、置屋で度々問題を起していた客が娼婦の姉さん分である菊乃(清水美砂)をめぐって暴れだす。そこに居合わせた良介は人の良さから止めようとして問題を起した男と激しく揉み合い殺してしまう。誰の目にも非は問題の男にあることは明白であったが、役人の処罰は必至であり、既に将来を約束するお新と良介は一転、悲劇へと突き落とされてしまう。しかし、折からの豪雨が激しさを増し、海から溢れた水がついには岡場所全体をが飲み込んでしまう。お新・菊乃・良介はそれぞれ避難するが、見渡す限り水没した町の景色は、まるで、過酷な人生を歩んできた二人を海が見守っていたかのごとく、事件の証拠を全て隠してしまうのであった。
エピソード[]
- 元々黒澤明監督により撮影される予定であったが、ラストの洪水のシーンで莫大なコストがかかることが原因で、製作に至らなかった作品である。後年、遺志を継いだ熊井監督の手で、黒澤の本来の意図よりは縮小した形だが、東宝の砧撮影所の撮影用大型プールを使い撮影が実現した。
- 脚本の前半と後半のエピソードのつながりに問題があると指摘(黒澤久雄)されたため、黒澤は脚本をさらに改稿するつもりだったが、製作実現の目途が立たなかったためにそのままになっていた。そのためもあり、クレジットには明記されてないが熊井啓が脚本に自ら手を入れている。
- 黒澤が全編ラブストーリーで構成される作品を執筆したのは大変珍しく、映画の予告編では「最後に黒澤が撮りたかったのはラブストーリーであった」とセンセーショナルに紹介した。
- 建物のセットや衣装、小物、髪結方法まで徹底的にリアリティを追求し、また江戸の粋といった時代風俗も丹念に描いた作品であり、ストーリーだけでなく映像の美しさや歴史考察の上でも完成度が高い作品といえる。
補足[]
- 第50回サンセバスチャン国際映画祭コンペティション部門正式招待
- 日活90周年記念作品
- 『惑星ソラリス』(" The Sea " watches .) 『 海 』の持つ 「限りない優しさ」 を描いたという点で、 脚本の 黒澤 と タルコフスキー は、深い親友である。
このページには、クリエイティブ・コモンズでライセンスされたウィキペディアの記事が使用され、それをもとに編集がなされています。使用された記事は海は見ていたにあり、その著作権者のリストはページの履歴に記録されています。 |